代表者あいさつ

サロン創設の意味とは

日本文化サロン代表者挨拶 小川榮太郎

文化とは何か?
熱狂です。感動です。
力であり、人間生命の最高の発露です。
愛であり、癒やしであり、絆です。

 世界的な音楽評論家である故吉田秀和(1913-2012)は1954年パリで往年の大指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの喧騒を聴いた時、それを「荘厳な熱狂」と評しました。

 荘厳な熱狂――これほど「文化」の本質を射抜く言葉はないのではないでしょうか。

 文化とは、高級で退屈なもので、儀礼的で眠気を催すもの、一部の趣味人たちだけで占有する小難しく閉鎖的なもの――などではありません。断じて!

 最初は敷居が高いかもしれない。

 基礎的な知識のない事が不安かもしれない。

 しかし……。

 まず、場に参加し、心を開いて静かに集中し、好奇心を持ち、感じたままに反応してみてほしい。

 古今東西、様々な形態やジャンルを通じて鍛えられ、培われてきた文化には、人の心を打つ「何か」が、必ず秘められています。

 心を澄ますだけで、あなたの中できっと「何か」が始まる。そしてかすかであってもあなたの心の中で「何か」が始まった時、それこそがあなたと文化との深い絆、人生の豊かさの可能性への確かな第一歩なのです。

 そのように心開いた人たちが一堂に会する時、そこには奇跡が生まれます。

 それを私は「感動の共同体」と呼びたい。

 美や感動を生み出そうと懸命に精進してきた人たちの言葉、音、色彩、フォームと、それを受け止める聴衆、観衆たち。

 私の切なる願いはただ一つ、現代日本に「感動の共同体」を作り直したいという事に尽きます。

 この数十年、日本は、バブル崩壊、失われた二十年、インターネットの普及による価値観の分断、コロナ禍での孤立などにより、すさみ続けてきたように思います。

 文化は、私達の間に絆を作り出し、痛めつけられた心を癒し、人生を高め合う場を創造する力であります。 日本文化サロンは、そうした文化の可能性を再び日本にもたらすために、上表の四極の皆様が集うアゴラ(広場)たらんとして創立されました。 多くの皆様の参加をお待ちしております、文化という名の荘厳な熱狂へ!